「瑞姫。今から、君の記憶を消す。だけど、必ず俺が迎えに行くから・・・それまで、待ってて」

「え?おにぃ――――――――」




瑞姫の額に唇をあて、暫くすると瑞姫の体の力が抜け

崩れ落ちるようにその場に、倒れこんだ。




「ごめんな、瑞姫。」




彼女の、黒髪を撫でながらそう呟くと

地下室を出て、誰にも見つからないように村を離れた。

そして月ノ瀬さんに瑞姫の居場所を教え、彼女の今後を託した。



その日から俺は、瑞希を迎えに行こうと何度も月ノ瀬神社に足を運んだ。

けれど何も知らない今の瑞姫に会って

なんて言えばいいのか分からなくて、結局何もしないまま

月日は過ぎて行った。



そして、気が付けば10年が経ち

俺が迎えに行くと言っていたのに、実際は瑞姫の方から

俺の学園に・・・ヴァンパイアが半数以上を占める玄洲学園に入学してきた。