「彩姫さん、瑞姫のところに行かせて。」
「今はダメよ。でも、冬夜君にお願いがあるの。」
真剣な目で見つめてくる、彩姫さん。
漆黒の髪と瞳を持った、とても綺麗な人。
「お願いって?」
「瑞姫を連れて逃げて欲しいの。」
「彩姫さん達は?一緒じゃないの?」
「私達は、囮になるわ。その隙に、慶ちゃんと一緒に逃げなさい。」
「嫌だ。彩姫さん達も一緒じゃなきゃ・・・瑞姫が可哀想だ。」
そう言った俺の言葉に、彩姫さんは悲しそうな顔をして瞳を閉じた。
だけど覚悟していたのか、次に瞳を開けた時には
その悲しそうな顔は消え強い意志が浮かんでいた。
「瑞姫には、幸せになって欲しいの。大人になった瑞姫を見れなくなるのは寂しいわ。でも、瑞姫にはあなたがいる。だから、心配はしてないの。」
「っ、彩姫さん・・・」
「だから、冬夜君。瑞姫をお願い・・・」
「・・・・・・わかり、ました。俺が、どんなことをしても瑞姫を守ります。そして、絶対に幸せにします。」

