「彩姫と伊蕗はね。本当は子供は無理かもしれないと言われていたんだ。二人とも正反対の力を持っていたからね。だから、君が生まれたとき凄く喜んでいたんだよ。」
「で、でも・・・私は。」
私の力が、両親や村まで破滅させてしまったのに?
私は・・・生まれてきて、良かったの?
「瑞姫が居たから、俺は救われた。」
「でも、私。幼い頃の記憶・・・ない、よ。」
「それは・・・・・・」
辛そうに顔を歪ませ、瞼を伏せる冬夜。
冬夜・・・何を隠しているの?
私の記憶と、冬夜と何か関係があるの?
「僕ら、ヴァンパイアには記憶を操る力があるんだ。特に純血種は、その力が強くてね。幼いころから、その力を使うことが出来るんだ。」
そう、口にしたのは颯斗さんだった。

