「それで、お父さんとお母さんは・・・どうなったの?」
「・・・そのあと、僕らはその村から脱出を試みたんだ。だけど・・・」
「途中で見つかった。そしたら、伊蕗さんが楯になって・・・」
隣に座っていた冬夜が、悔しそうに顔を歪め
ギュッと手が白くなるほどに握りしめていた。
慶仁さんの話によると、追いかけられた冬夜たちを逃がすため
植物の成長を促し、目の前に緑の壁を作ったらしい。
けれど、所詮植物。焼き払われれば消えてしまう。
それに気が付いた冬夜が、助けに行こうとしたけど
お母さん・・・彩姫に止められ
冬夜と慶仁さんだけを逃がし、お母さんはお父さんを助けるために
戻ったのだという。
その直後、銃声がした・・・おそらく、2人は―――――――
「すまない。俺があの時あの村に行かなければ・・・もしかしたら、2人は。」

