呆気にとられていると
いつの間にか私の後ろに立っていた冬夜が声を掛けた。
「お久しぶりです。月ノ瀬さん。」
「ん?・・・・あぁ、君は・・・あの時の。」
「あれ、2人とも知り合いなの?」
「んー、まぁね。その話は後だ。さぁ、中に入って」
少し顔を曇らせた慶仁さんは
背を向け、境内の奥にある本殿へ歩き出した。
「慶仁さん、私は・・・」
「あぁ、そうか。じゃ、離れに何か飲み物を持って行くよ」
本殿は、慶仁さんの奥さんや祖父母が住んでいる。
けれど私が本殿に足を踏み入れることを
彼女たちは、心よく思っていない。
だから正直そこへ行くのは、気が引ける。

