俺が颯斗を睨み付けていると
彼女は恥ずかしさのあまり、ソファに置いてあった鞄を手に
急いでこの部屋から出て行こうとしていた。
「瑞姫。今夜、待ってる。」
「・・・ばか」
扉の前に居た彼女にそう声を掛けると
顔は、真っ赤にしたまま
でもちょっと嬉しそうにして出て行った。
「いいねぇ。俺も“ ばか ”って言われたい。」
「バカ。」
「いや、冬夜に言われてもなぁ。」
クスクス笑いながら、颯斗は机に向かい
生徒会としての仕事に戻った。
俺は、カップを手に取り
冷めてしまった紅茶をすすり、本に目を落とす。
こういうのも、悪くないな―――――――

