物心ついた時から、僕にはソレが見えた。

ソレは母の小指と父の小指を繋いでいた。

赤い色をした糸。

それを世間で「運命の赤い糸」と呼ばれていることを知るよりもずっとずっと前から、僕は当たり前のようにその存在に気づいていた。

そして、道を行きかう人々の小指からその糸が長く長く延びているのを見つめながら思った。

僕の小指から延びているこの糸はいったい誰とつながっているんだろうって。