画面のなかのあいつ。

「そうそう。主役とか緊張するっ…」


「主役?!凄いじゃん!役者デビューで主役とか優采位しかいないんしゃない?!」

1人で舞い上がって興奮してる私に優采は、




「全然凄くないよ。主役とか俺向いてないんじゃないかなって。」

遠くを見つめながら言ったその瞳は、少しさみしげだった。


「…しかも、キスシーンとかあるし…。」

その言葉に少し胸が締め付けられた。

「キ…キスシーンかぁ…。大変だね。でも相手の女優さん綺麗な人だしっ。良かったじゃん。」

何言ってんだろ、私。


「いいわけないじゃん!キスシーンなんて…やりたくないし…。
俺にだって…」




「おーいっ!優采ー!依梨奈ー!」


2人の向こう側に私たちの名前を叫ぶ人がいた。