熱にうなされているからなのか
蓮お兄ちゃんが歪んで見える
「…オン―――!!ネオン?!」
急に視界がはっきりして
蓮お兄ちゃんが見えた
私の名前を呼んでる…?
「うなされてたぞ…どうした?」
気づけば体は汗で濡れていた
あれは、夢…?
「今…何時?」
あのときは昼近かったはず…
「今か…?今は10時前だけど」
やっぱり
夢だったのか…
「どんな夢見たんだ?何かにおびえてたみたいだけど…」
まさか、蓮お兄ちゃんが豹変したなんて
言えるわけないし
「覚えてないけど、怖かった」
嘘はついてないよね…?
「そっか、でも汗かいたおかげで熱下がったみたいだ」
蓮お兄ちゃんの手が私のおでこにあてられた
さっきみたいに冷たくない
「じゃあ退院していい?!」
「そーだな、一応退院って形になる」
「やったー!!!」
今からなら何とか学校にもすんなり復活出来るかもしれない
「ただし!」
「ただし…?」
蓮お兄ちゃんは真面目な顔で私の頬をつまんだ
「なーによぉー。」
「ただし、少しでも悪くなったら即病院戻るんだからな」
「はーい。って言うかはなーしてっ!」
蓮お兄ちゃんはやっと手を離した
「まぁ、とりあえず悪化しないように寝てろ」
「はぁーい♪」
そう言われたけどワクワクして寝てらんない
というか、本音はさっきみたいな夢みたくない…
「ネーオンさん。退院出来なくなりますよー」
蓮お兄ちゃんはため息をついた
「じゃあさ、寝るまでとなりにいて?」
蓮お兄ちゃんの目が大きく見開いた
変なこと言っちゃったかな?
「分かった」
そう言うと蓮お兄ちゃんはベッドの脇の椅子に座った
「変な夢見たら俺が助けてやればいいんだろ?」
いつの間に心が通じたんだろ
お兄ちゃんはさすがだなぁ
「手、繋いでたら怖くないか?」
蓮お兄ちゃんは私の手を優しく握った
まるであの頃みたい
「じゃぁ、寝ようかな…おやすみ」
「ああ、おやすみ。」
ふんわりと蓮お兄ちゃんの香水の匂いに包まれて
いつの間にか眠りに落ちていた
