ばたん
戸を閉め、視界が真っ暗な中照明のひもを感覚で捕まえ、引いた。
それは数回点滅した後、まぶしい光で直接目に激しく差し込んできた。
「……」
無言でさっさと着替え始める。
この部屋は寝室といっていたが、今は毛布や布団は押し入れにしまってあるため、がらりと広い。
目につくものは、クローゼットと、いくつかの段ボール箱など。…段ボール箱は、物入れにちょうどいい。
ふと、クローゼットの上にある小さな写真立てに目がいく。
そこにあるのは、薄れていく昔の記憶。
過去。
今はもうないもの。
急に胸がえぐられる感覚を覚え、一人顔を歪ませる。
片手で掴み、それをゆっくりカタンとふせた。

