オレが男の目を見ようとすると、相手はすっと視線を横に逃がした。 ためらいがちに言う。 「名前は…言いたくない。それじゃ、駄目ですか」 「駄目ってことはないが…、 何か理由があるのか?君が殺人犯だった場合、かくまうのは無理だ」 これは冗談。 「いや、違くて………」 とうとううつむいてしまった。何だこれ。オレが悪いのか。 そこで自分がまだスーツ姿だったことを思い出す。 「ちょっと着替えて来るから、待ってて」 オレは急ぎ足で男の脇を通り、隣の寝室に入った。