「今日の料理当番白に交代な!」
「まだ怒ってんのかー?まぁ、料理は趣味だからいいけどよー。何食いたい?」
「豚キムチ」
「えー、辛い…」
「嫌だ!豚キムチって言ったら豚キムチ!」
「わかったわかったー。兄ちゃんが折れますよー」
「ふんっ」
そんな兄弟の会話をしながら、二人はアパートに付いた。
部屋の前で黒は鍵を取り出し鍵穴に差し込む。
ーーカチャッ
耳に心地の良い音が響き、ドアノブを右に回していつも通りに扉を開けようとした。
が。
ーーガチャン!!
「「え」」
なんと、開くどころか全く扉が動いてくれないのだ。
……。
「白!お前鍵閉め忘れただろ!?」
「いやいや!だってオレ昨日の夕方からいないじゃん!?」
「……いや!!オレは確実に鍵閉めたからな!?」
「ちょっ!黒ちゃん焦り過ぎ!!」
「だってアレだぞ!?中には【定め屋】の極秘情報が!!」
ーーガチャッ
「「え」」
「まぁ!お待ちしておりましたわお二方!!」
巻き髪の派手な髪に豊満なバスト、
すらっと伸びた美脚
艶やかな和服姿の女が、そこに立っていた。
え、キャバ嬢??
と確実に二人の思想は同じ所に一気に行き着く。
「え!何!?これドッキリ!?」
「こんな時まで馬鹿な事やるな!!なんだ貴様!!なんでうちに!!」
「黒ちゃん呼んでねーっしょ!?コンパニオンの方を!」
「呼ぶわけねぇだろ!!つかオレ達は健全なる高校生だっつーの!!」
「あの、お二方?」
「ふざけんな!!オレはこんなケバい女に用事ねぇよ!!」
「オレだってもっと身長低い方が好みだっての!!」
「あ!?だからお前子供に懐かれんのか!?」
「違う違う違う!!幼女趣味じゃねーってば!!」
二人の焦った姿を初めはにこやかに見ていた女だったが、収集がつかぬと判断し、挙句に何故か自分が愚弄され初めたと来ては、たまった物ではない。
ーードン!!
「おいおめぇ等!!」
「「「「へい!お嬢!!」」」」
「「…」」
先程とは打って変わって般若の様な顔で二人を睨みつけ、いきなりドスを玄関にブスリと突き立てると、後ろに居たであろう数人の男を呼びつけ、二人を乱暴にうちの中へと連れ込む。
そしてそれはもう乱暴にドアを閉めたのであった…。
ーーバッタン!!!!!
ああ…明日はご近所さんから苦情が来るんだろうな…
そんな事を思いながら、二人は身動きが取れず、只々脳内は恐怖でいっぱいいっぱいになって行くのであった。