先に目をそらしたのは、宮川。
あたしから問題用紙へ。
宮川の頬が赤く染まって見えたのは、気のせいかもしれない。
続けて問2をやるのかと思ったら、宮川は急に立ち上がった。
「あれ、終わり?」
「外見てみろ。もう暗くなるぞ」
本当だ。
いつの間にか窓の外は日が暮れていた。
あたしは問題1つ解くのに、こんなに時間を使ってしまったということか。
改めて自分の馬鹿さがわかった。
「問2は明日だな。今日はもう帰れ」
じゃあ、明日も居残りってこと?
数時間前なら嫌がっていたはずなのに、なんだか今はそれが楽しみに思えた。
なんでだろう。
宮川を見上げたら、大きな手があたしの頭をクシャッと撫でた。
「おつかれさん」
にっこり笑う宮川を見て、あたしは素直に嬉しかった。
もうちょっと、もうちょっとだけ、一緒にいたい。そう思ってしまった。
だからーーー
「宮ちゃん!」
ーーーあたしを残して教室を出て行く宮川を、呼び止めた。

