「お前、公式覚えたのか?
俺の顔じゃなくて、こっち見ろこっち」

シャーペンの先で公式を叩く宮川。


「はいはい」


宮川が書いた公式は、やっぱりあたしには理解不能。


宮川はあたしでも理解できるように、口で説明を付け加える。


わかったような、わからないような。

あたしは頭を抱えながら宮川の手からシャーペンを取り、問1に挑んでみる。



あれ?この後はどうするんだっけ…

足りない脳みそをフル回転させても、途中で止まってしまう右手。


「ここまで出来れば大丈夫。
あとはここを…」

つまずいた所で、宮川が助けをだした。




1枚の紙きれの上で、問題を解くあたしと、あたしに教える宮川。


自然と近くなる距離を気にすることなく、


「あ、解けた」


と、つい嬉しくて顔を上げると、すぐ目の前に宮川の顔があった。


あたしは思わず固まってしまったけど、宮川は気にすることなく、「正解」とにっこり笑った。


近距離で見た宮川のその笑った顔が急に幼く見えて、またあたしは目をそらせなかった。