ばかだな、宮川。

宮川がどんなに頑張って教えたところで、あたしの馬鹿な頭は働いてくれないんだよ。


机の上に置かれた紙きれをただ眺める。

数字がたくさん。もうお腹いっぱい。


そんなあたしに無理矢理シャーペンを握らせる宮川。


そこで閃いた、あたしのずる賢い脳みそ。


「じゃ、まず宮ちゃん解いてみてよ。
例題ってことで」

あたしに持たせたシャーペンを宮川に返す。


例題と言って宮川に全部解いてもらい、あたしはただ理解したフリをする作戦。


でもその作戦は、
「松田がやらなきゃ意味ないだろ」
宮川の一言で失敗に終わった。


「まず問1。これ1番簡単だからな」


あたしの右手に再び握らされたシャーペン。


簡単だと言われても、頭は真っ白。
あたしの右手は動く気配無し。



それに気付いた宮川は、あたしからシャーペンを取り上げ、数字や記号が並んだ公式を紙きれの隅に書き始めた。