その日の放課後、居残りを無視して帰ろうと下駄箱に向かうと、宮川が待ち構えていた。
「待ち伏せ?」
「お前が素直に居残りするわけないと思ってな」
あたしは諦めて笑った。
あたしのする事はお見通しってわけね。
宮川に連行され、連れていかれたのは空き教室。
「説教?それとも反省文?」
あたしは鞄を机に放り投げ、近くの椅子に座った。
宮川はあたしの問いに答えないまま、1枚の紙を目の前に差し出した。
「…え、まじ?」
数字がたくさん並んだ紙。
この数学の問題を全部解けってこと?
「無理無理!できるわけないじゃん!」
これなら説教の方がいい。
反省文ならもっといい。
頭を抱えるあたし。
「出来ないなら俺が出来るようにしてやる」
頭上で宮川の声が聞こえ、そのすぐあとに椅子をひく音。
顔をあげると、机を挟んであたしと宮川は向かい合わせに座っていた。

