長い長い数学の授業。

だるいだるい数学の授業。



はあ。早く終わらないかな。



宮川が黒板に数字を並べ、例題を解く。


ただの数字にしか見えない。

こんな問題が解けたところで、将来何の役にたつの?

今の時代、計算機っていう便利な物があるんだよ、知ってる?宮川先生。



宮川が黒板を向くたび、あたしは机の中に隠した菓子パンを頬張った。



「じゃ、この問題解いてみろ。…松田!」


…あたし?


「わかんないでーす」

わかるわけがない。


「パン食ってる暇あるなら授業聞け!」

あ、バレてたんだ。

バレてたのなら仕方がない。

あたしは残ったパンを一口で食べ、「ごめんね宮ちゃん」と謝った。


そんなあたしを見て、宮川は呆れ顔。


「松田、お前今日居残りな」


最悪、と呟いたあたしの声は、授業終了を知らせるチャイムの音でかき消された。