恋と愛とそれから彼と





中断された会話の続きは、昼食を摂りながらになった。

聞けばそんなに遠くない場所に住んでいるらしい。





『わざわざ俺に気を遣うことないよ。行けば?』

「ハヤトって鈍いよね。天然?」





スプーンの動きがぴたりと止まった。
彼女に鈍いだとか天然だとか言われたくない。





「ハヤトも行く?って誘ってるのに。」

『俺?なんで?彼氏じゃあるまいし。』

「え、でもアヤとも同級生だし。」

『まぁそうだけど‥‥』





あまり気が進む話ではない。
言ってしまえば、鹿野には興味がないし、話をする内容にも困るだろう。

会話は適当に便乗するにしても、だ‥‥俺が行く意味があるとは到底思えなかった。





「同居人は紹介しないとダメかと思ったんだけど‥‥。」

『勘違いされるよ。』

「彼氏じゃないって言うよ、勿論。」





鹿野はさほど親しくないし、会いたくない理由だってある。

だったら行かない方が賢明だ。





『やっぱりやめておく。』

「え‥‥」

『マズいの?』

「同居人を連れて行くって言っちゃった。」

『(それを最初に言えよ、)』





そして「お願い!」と、手を合わせた。

‥‥ああ、もう。
わかったよ、負けました。





『何日?』

「いいの?」

『仕方ないじゃん。』

「ありがとうございます!」










世間が賑わう大型連休。
俺の運命や如何に。