パイプ椅子に腰を掛ける。
「おじいちゃん、こけたって聞いたけど大丈夫なの?」
真子が心配そうに尋ねる。
「大丈じゃよ。これくらい!ほらほら!!」
「ちょっ!あなた!そんなに腕を振り回したら……」
「いてててっ……」
元気なところをアピールしようと腕を振り回したのがあだとなったのか、腰を押さえて痛みだした真子のおじいちゃん。
「ほら、言わんこっちゃない。こけた時に腰を打ったんですから、安静にしててください」
「はい……」
シューンと怒られた子犬のように、肩を落としている真子のおじいちゃんが少しかわいく見えたが、なんとか笑いをこらえた。
「でも、こうやって2人を見ているとまるで昔の寧々と大樹くんを見てるみたいだよ」
寧々さんと真子のお父さん……?


