それから何時間も電車に乗り、2度ほど乗り換えをしているうちに、見覚えのある風景に変化してくる。
もしかして……
「ねぇ、洸。もしかして卒業旅行先って」
「気付いたか?そう、行先は真子のお父さんの故郷の旅館。1泊だけど予約したから」
洸が計画してくれた旅行先が、まさかお父さんの故郷なんて……
お母さんにわざわざ聞いてくれたのかな……?
その気持ちが嬉しかった……
電車を降りて、バスに乗り換え、やっとのことでついたお父さんの生まれ故郷。
何年ぶりだろう……
お父さんの産まれたところはとても田舎で、電車も2時間に1本。
バスなんて、半日に数本程度だ。
だからなかなか行く機会がない。


