「もうっ!離してっ!」



「……」



「ねぇってば!!」



さっきからギュッと掴まれたままの腕。



どれだけうったえても、その手は離れることはなく、学校を後にしてただひたすら歩き続ける。



そしてついた先は……




――チリン



「いらっしゃいませ」



甘い甘い香りをさせるPURE。



「あら、真子ちゃん来てくれたの?」



「え……名前」



「あっ、ごめんなさいね。順平から無理やり聞き出したのよ。この子ずっと犬っころしか言わなくてなかなか教えてくれなくて」



それはきっと教えないつもりじゃなくて、本当に犬っころと呼んでいたからなんですよ。