それから洸を見る勇気なんてなくて、トイレに逃げ出した。



涙を落ち着けて、部屋に戻ってきたあたしの部屋には……もう洸の姿はなかった……




―――――――――……



「おいっ」



「……」



「おいっ!!」



「……」



「そこの犬っころっ!!」



「えっ!?」



あ、あたし!!?



次の日、廊下で空をボーっと見ていたあたしに投げかけられた懐かしい呼び方。



「あっ、大蔵くん……」



「一応名前は覚えていたんだな」




どれだけあたしはこいつにバカに見られてるんだ?