「どうぞ」
淡い水色のグラスにつがれたアップルジュースを、洸が目の前のテーブルに置いてくれた。
「真子、髪がまだちゃんと乾いてないじゃないか」
「あっ……」
いつも面倒でちゃんと乾かさないんだよね。
「髪はきちんと乾かさないと痛むから。せっかく綺麗な髪してるのにさ」
そう言って、洗面所の方に歩いていく洸。
そしてそこから出てきた洸の手には、ドライヤーが握られていた。
「真子はそこに座ったままでいいから。俺が乾かしてやる」
「えっ!?いいよ!自分で乾かす」
「いいから。後ろとかは自分で乾かしにくいだろ。俺が乾かす」
立ち上がろうとしたあたしの肩を、有無言わず押さえこんで座らせた。


