トーキング・デッド

そこで俺は目が覚めた。なぜ夢の中で自分の住む町の説明をしていたかわからないが、とにかく現実に戻った俺は少々慌てた。

腕時計を見る。朝の5時半。外はもう明るいはずだ。

場所はバイト先のコンビニエンスストア。「リビングライフ」の事務所。

24時間営業がもったいないくらいのこの店で俺はついウトウトしていたようだ。

そろそろ近所のじーちゃん、ばーちゃんが来る頃か。

と、伸びをして、机の上の2つのモニターを眺める。

ひとつは、テレビで砂嵐だ。

「おかしいな。もうニュースやってるだろ」ひとりごとを言いながら隣りのモニターに目をやる。

店内の防犯カメラだ。画面は9分割されていて、様々な角度から店内の様子を映している。

なんとなく眺めていると、俺は思わず息を飲んだ。

画面一番左の下に目が釘付けになる。

ジュース売り場の前の映像。

客席がひとり。缶ジュースの封を開けている。

「ちょ、ガブ飲んでるやん!」

俺は慌てて事務所を出た。