ｱｯﾌﾟを終えて、ｽﾀｰﾃｨﾝｸﾞﾌﾞﾛｯｸを準備する。
ここのところ跳躍練習ばかりだったので
T.Tはかなり久しぶりだった。
もちろんﾀｲﾑは狙っていた。
｢位置について｣
ｽﾀｰﾀｰの合図でﾌﾞﾛｯｸに足をかける。
一度体を起こし、ｺﾞｰﾙを見つめる。
集中を高め、目を閉じた。
｢よーい｣
ﾊﾞﾝｯ
ﾋﾟｽﾄﾙの音と同時に飛び出した。
上体を起こさないよう意識しながら
速いﾋﾟｯﾁで地面を掴む。
加速局面から中間疾走へと移行してゆく。
ﾘﾗｯｸｽして楽に腕を振る。
接地のﾀｲﾐﾝｸﾞだけ意識しながら走る。
80m付近で一緒に走っている奴と
ほとんど並んでいることに気づいた。
と、次の瞬間には力んでしまい、
大きく減速してしまった。
そのままｺﾞｰﾙ。
ﾀｲﾑは11"88だった。
まずまずの記録だった。
