「はぁ…はぁ…」
走って教室につくと、
親友の奈緒が私のもとへやってきた。
「結衣おはよー。なになに、走ってきたの?」
「…う、うん…はぁ…」
「全然遅刻じゃないけど」
そういって時計を指さす奈緒。
違うんのよ…。
そういう問題じゃ…
「あははっ!輝おもしろい!」
一人の甲高い声を聞いて、私の心臓はドグンッと飛び跳ねた。
その声の持ち主は…
きっと輝の彼女だろう。
輝の席に来て、輝と楽しそうに話してるもん。
いつもなら…。
いつもなら、輝と登校してたのになぁ…。
あの場所で喋っているのは、私だったのになぁ…。
そんなことを、無意識に考えていた。

