狂奏曲~コンチェルト~



「胸を張って好きだと言えるから、今度こそかなめと向き合って生きたい」
「翼……」

 母さんが、じっと俺を見ている。

「聞いたか?」
「あなた……」

 父さんが、口元に笑みを浮かべながら、

「今までずっと空ろだった翼が、やっと自分で前を向く気になったんだ」

 父さんが俺の前にやってきた。
 じっと俺を見つめる。

「翼、大切な人を守り抜くには、強さが必要だ」

 父さんの言葉に俺は頷く。

「かなめちゃんを幸せにしたいのなら、強くなれ」
「……ああ」
「やっと、目に光を取り戻したな」

 そうやって、父さんが笑って俺の頭をなでた。

 俺もおかしくなって、つられるように笑った。



「どの面下げて、俺に会いに来た」

 それは、きちんと話をしておかなくてはならない相手との対面だった。

「お前にかなが幸せにできるのか?」
「はい」
「ふざけるんじゃねぇっ、お前に大切な妹はやれん!」

 有紀が冗談めかして言った瞬間、俺は吹き出してしまった。

「お兄ちゃん、それなんの真似よ」

 隣でかなめも笑っている。

「いや、嬉しくて」

 照れたように笑う有紀は、本当に嬉しそうだった。

 ここは、大学にある公園だった。
 芝生の上に円になって座っている。

「お前達が、ちゃんとどうにかなってくれて良かった」
「お前には、随分心配かけたな」
「おうよ。随分貸し作ったと思うぞ」

 有紀が歯を見せて笑う。