狂奏曲~コンチェルト~



「おばさん……ごめんなさい……っ」

 かなめが頭を下げた。

「私が嘘なんかついたから……おばさんまで……っ」

 かなめ……

「私……っ」
「……かなめちゃん」

 母さんが、ゆっくりとかなめに近づいた。
 かなめが顔を上げる。

「貴女も……辛かったのに、酷いことばっかり言ってごめんなさい」
「おばさん……っ」

 母さんが、そっとかなめの手を握る。

「本当は、私は貴女の気持ちをわかってあげなくちゃいけなかったのに……子供可愛さに……」
「おばさんは悪くない……っ」

 母さんは続けた。

「翼が笑ってくれなくなって……抜け殻みたいになって……それを貴女のせいにした」
「おばさん……」
「ただ、怖かった……翼が事故に遭ったって聞いたとき、自殺かもしれないって聞いたとき、全部貴女のせいにした」
「母さん……」

 でも、それは……

「おばさん、過去は変えられないです」
「……かなめちゃん……」
「私も、つばちゃんも、過去を消したいとは思いません」

 過去は変えられない。
 消し去ることだってできない。
 忘れていても、ある日思い出すかもしれない。