狂奏曲~コンチェルト~


 母さんが唇を噛みながら、

「……好きだ好きだと言っても、どうにもならないことがあるでしょう。現に、お互い好き同士だった貴方達は、どれだけの間すれ違っていたの? お互いを傷つけていたの?」

 震える声で、そう告げる。

「俺はかなめに傷つけられてなんかない!」
「私はつばちゃんに傷つけられていませんっ」

 俺達は同時に叫んでいた。
 母さんがはっと息を呑んだ。

「陽葉理(ひばり)、もう――怖がるのはやめたらどうだ?」

 初めて、父さんが口を開いた。
 母さんが俯く。

「お前は、自分を責めているんだろ?」
「「え?」」

 父さんの意外な言葉に、母さんは俺達から顔を背け、俺達はそろって呆けた声を出した。

「父さん……?」
「私が、気づいてないとでも思っていたのか?」
「……あなた……」

 母さんが項垂れる。

「……あの時」

 母さんが、そっと口を開いた。