狂奏曲~コンチェルト~




「つばちゃん……」

 何十分も泣きながら抱き合っていた俺達だったが、しばらくしてどちらかともなく離れた。
 だが、手は繋がれたままだった。

 俺を見て、かなめが照れくさそうに笑った。
 それが可愛くて、俺はそっと顔を近づけた。
 かなめが目を閉じる。

 俺達は初めて、想いの通じ合ったキスを交わした。

「ねえ……」

 唇を離した俺に、かなめが不安そうな顔をした。

「どうした?」
「あのね、おばさんのことなんだけど……」
「ん?」
「私のことよく思ってないみたいなの」

 暗い顔で、悲しそうに言うかなめ。
 俺は顔をしかめて、かなめの肩を抱いた。

「つばちゃん、事故の後、私のこと見えなくて……」
「……ごめんな……?」

 かなめはかぶりを振った。


 事故の後、なんでかなめのことが見えなかったのか、自分でもわからなかった。
 もしかしたら、かなめのことを解放したいという強い思いから、過去をなかったことにしてしまったのかもしれない。

 でも、今はそんなことはどうでもいい。

 こうして、かなめと一緒にいられる時間は、俺にとって何物にも代えられない時間なのだから。