狂奏曲~コンチェルト~


「……愛してる……」

 俺は、かなめを抱きしめた。

「愛してる……ずっと……」

 許してもらいたいなんて、思ったことはなかった。
 だけど、本当は、心の奥底では、一緒にいられる日々を夢見ていた。

「つばちゃん……私も」

 ずっと、物心ついたその日から、ずっと好きだった。
 ずっと、ずっと好きだった。
 今でも、本気で好きだ。
 かなめのためなら何でもできるし、かなめを幸せにするためならなんでもできると思っていた。

 だけど、まさか、俺の思いが通じる日が来るとは思っていなかった。

 かなめを強く抱きしめながら、涙が止まらない。

 俺のことを忘れてしまっていたかなめと愛し合っていた日々は、しょせん陽炎のように儚い日々だった。
 だけど、今この腕の中にいるかなめは、俺のことを受け止めてくれている。
 俺と同じように涙を流しながら、俺の思いを受け止めてくれている。

 こんな日がくると、誰が想像できただろう。

「ごめん……かなめ、本当にごめん……」
「謝らないで、つばちゃん、愛してる……」
「かなめ……」

 抱き合いながら、愛を囁きあう。


 お互いが奏でていた旋律。
 時折重なりながらも、すぐに不協和音を奏でていた。

 だが、やっと俺達のメロディーが、完成する。

 お互いへの愛を、狂いそうになるほどの愛を、一つのメロディーに乗せて曲を奏でる。