「かなめ……お前が俺を……責めていなくても、俺は自分で自分が許せない……」
「つばちゃん……」
原因が、かなめのついた嘘にあったとしても……俺がかなめの大切な純潔をむりやり奪ったことには変わらない。
忌まわしい過去が起こったのは、この部屋だった。
五年経った今、同じ部屋でこうして一緒にいる姿を、誰が想像できただろう。
かなめの告白は、俺を罪から解放するものだった。
だけど、俺は自分を許せなかった。
「俺は……お前に触れられない……」
「つばちゃん!」
俺の言葉に、かなめが怒ったような声を出した。
「つばちゃんは、私がつばちゃんのせいで自分を責めている姿を見たいっ?」
泣きながら叫ぶかなめに、俺はかなめを見た。
かなめは、顔を真っ赤にして俺を睨みつけていた。
「つばちゃんは、私につばちゃんを責めて欲しいの?」
「かなめ……」
「私は、つばちゃんになら壊されてもよかった!」
かなめの言葉に、シンバルが耳元でかき鳴らされたような衝撃を覚えた。
「かなめ……?」
「お兄ちゃんもそう……なんにも悪くないのに、自分を責めてる……」
有紀が……?
「つばちゃん、もう、やめようよ」
かなめは、俺の手を握った。
俺は逃げられなかった。
「過去は消せない」
「…………」
かなめの茶色と、俺の灰色の視線が絡んだ。

