狂奏曲~コンチェルト~


「私……悔しくて。つばちゃん、私のことなんてなんとも思ってなくて、ほのかのことが好きなんだと思ってた」
「……え」

 かなめ……?

「私、つばちゃんの気を引きたくて必死だった。毎日つばちゃんに会いに行ったり……」

 どくりと、心臓が鳴る。

 俺達は、両思いだったのに……すれ違っていた……?

「だから、嘘ついたの。クラスの男子に告白されたとき、『付き合ってみるのも良いかもしれない』なんて……本当はとっくに断ってたのに!」

 っ……

「私はつばちゃんのことが好きで、大好きで、だから嘘をついた。それで、つばちゃんを傷つけるなんて知らなくて……」

 泣きながら告白するかなめに、俺は呆然としていた。

 初めて知った、思いもよらなかったかなめの気持ち。
 それは、俺の中に巣食っていた黒いものを崩していく。

 俺の目から溢れてくる涙は、悲しいのか、嬉しいのか、自分でもよくわからなかった。

「かな……め……」

 かなめは涙で濡れた瞳で俺を見上げた。

「私はつばちゃんが好き。昔も今も、変わらない」

 俺は、かなめに伸ばした手を――引っ込めた。

「つばちゃん……?」

 目を逸らした俺を、かなめが不安そうに見ているのがわかった。