狂奏曲~コンチェルト~



 苦しみに満ちた声。
 全く同じ言葉を紡ぐ、幼いつばちゃんの声と、低くなったつばちゃんの声。

 それが、ぴったりと私の中で重なった。


 つばちゃん、貴方が私をその瞳に映さなくなってから、私のメロディーは不完全になってしまったの。

 弦が一本切れてしまったような、そんな不完全な旋律。
 それでも私はつばちゃんを想って、曲を奏で続けるの。
 この曲を完璧にできるのは、つばちゃんだけなんだよ。


 扉の向こうにいるつばちゃん。
 私の声は、どうしたら貴方に届くの?


 扉を眺める。
 つばちゃんには私が見えないし、私の声も聞こえないけど、扉を叩く音は、聞こえるかな?


 私は、扉をノックした。

「……」

 するとほどなくして扉が、開いた。

 私が目の前にいるのに、不思議そうにきょろきょろと辺りを見回すつばちゃん。


 つばちゃん、私はここにいるよ。
 お願い、私に気づいて――。