狂奏曲~コンチェルト~


「っ……」

 だけど、つばちゃんはまるで自分以外に誰もいないかのように、こっちへ歩いてくる。

「つばちゃん!」

 呆然としている私の横を通り過ぎるつばちゃん。
 ありったけの声と想いを込めて叫んだけれど――、

「……」

 つばちゃんには何も聞こえないようで、二階に上がってしまった。

 愕然とした。
 私の声は、つばちゃんの全く届かない。

「つばちゃん……」

 私の大好きな人。
 私が苦しめた人。
 私のために、傷ついた人。

 私は唇をかみ締めて、つばちゃんの後を追った。

「つばちゃん!」

 叫んでも、本当に何も聞こえてないみたいだった。

 あまりの出来事に、くじけそうになった。
 だけど、諦めたくない。
 私の想いは、つばちゃんへの想いは、簡単に諦められるようなものじゃない。

 つばちゃんは自分の部屋に入っていってしまった。