狂奏曲~コンチェルト~






『今から、家を出るよ。鍵は掛けないから、勝手に入ってくれればいい』

 おじさんからのメールに、私は深呼吸をした。
 角からつばちゃんの家のほうを伺っていたけど、しばらくするとおじさんとおばさんの話し声が聞こえてきた。

「あ」
「どうしたの?」
「ちょっと忘れ物だ」

 おじさんの言葉におばさんが笑って、

「そそっかしいわね」
「ちょっととってくるから、先に車に乗っていてくれ」
「わかったわ」

 おばさんは車に向かった。
 しばらくして、おじさんが出てくると、様子を伺っていた私の方を見た。
 少しだけ顔を出した私に、おじさんは頷いてくれた。

 そして、つばちゃんの両親はでかけていった。



 鼓動が早くなるのは緊張のせい。
 もしも、これが上手くいかなかったら……、私はつばちゃんを諦める。
 今家に入っても、つばちゃんに私の声が届かなかったらどうしよう。
 つばちゃんに、私が見えなかったらどうしよう。

 緊張で泣きそうになる。

 でも、ここで負けてなんかいられない。

 私が自分を責め続ける限り、お兄ちゃんは自分を責め続けるだろう。
 私がつばちゃんを諦めたら、ほのかはどれだけ惨めな思いをするだろう。

 私は、意を決した。


『かなめ……愛してるんだ……』


 つばちゃん、私は、貴方だけを愛している。