狂奏曲~コンチェルト~


「つばちゃんに会わせてください」

 おばさんとの約束を破ることになる。
 でも、私はつばちゃんに直接拒絶されたわけじゃないと――思いたい。

「ふざけないで! 翼は、随分落ち着いてるのよ?」

 おばさんが低い声でけん制する。

「今までなら、呼びかけてもどこか虚ろだった。でも、今は普通なの。髪の毛も黒く生えそろって、色覚障害だってなくなって、鬱に似た症状だってなくなってるの!」
「でも私はつばちゃんに会わなくちゃいけないんです!」
「貴女が翼に何ができるの!」

 何ができるかなんて、私にはわからない。
 だけど、私はつばちゃんに謝りたかった。

「つばちゃんに謝りたいんです」
「……帰って」
「お願いします、会わせてください!」
「無駄よ、翼には貴女が見えないわ」

 ぴしゃりと閉められた扉に、しばし呆然とする。
 だけど、こんなことで負けてはいられない。

 私の戦いは、始まったばかりだった。