狂奏曲~コンチェルト~


 五年前と何も変わっていないつばちゃんの家。
 私はつばちゃんに会いたい一心で毎日ここに通っていたんだ。
 視線を動かして目で追うのは、私の家があった場所。
 そこには、もう違う家が建っていた。

 この家がいつ建ったのかは知らない。
 だけど、つばちゃんがこの家を見るたびに、どんな思いをしていたのかは想像に難くない。
 思い出の中から消されていく私の痕跡。
 つばちゃんは、私のことを忘れてしまいたかっただろうか。
 いや、そんなはずはないと信じたい。

 今ならはっきりと言える。
 私はつばちゃんが好き。
 つばちゃんは私が好き。
 私達は、お互いを好きだから、遠回りをしたんだ。

 そう信じ込まないと、くじけそうだった。

 意を決した私はつばちゃんの家の呼び鈴を鳴らした。

「はーい」

 おばさんの声がして、身構える。
 開かれた扉の先で、驚いたような顔のおばさんと目が合った。

「……こんにちは」
「何しに来たの?」

 おばさんの声は険しい。