「ありがとう……っ」
「うん、頑張れ、かなめ」
ほのかのためにも、つばちゃんのためにも、私自身のためにも、私はつばちゃんを諦めない。
風が、私の髪をさらう。
「っ……」
喧騒に紛れて、私は深呼吸をした。
高鳴る鼓動は、緊張のせい。
私は、五年ぶりに生まれ故郷へと帰ってきた。
つばちゃんが実家に帰ってから二ヵ月後、大学が休みに入ったのを機に、私はこの町にやってきた。
あの日からずっと考えているのは、つばちゃんが本当に私を見えていなかったのか、それとも無視をしていたのかということ。
でも、私の知っているつばちゃんは不器用で、あんなに上手に見えていない振りをできるとは思えなかった。
だとしたら、本当に見えていなかったのだ。

