狂奏曲~コンチェルト~



 やってきたのは、私とつばちゃんが過ごしていたあの場所。

「……ごめんね、ここしか思いつかなくて」

 私は黙って首を横に振った。

「……それで、どうするの?」
「……つばちゃん、実家に帰るんだって。おばさんに、二度とつばちゃんに会うなって言われた」

 私は、あまりにもつばちゃんを傷つけすぎて、苦しめすぎて――……結局謝る機会まで与えられなかった。

「謝りたかったのに……つばちゃん、私の声が聞こえないの」

 泣きながら言う私に、ほのかが背中をなでてくれる。

「つ、つばちゃんに無視されて、忘れられるのがどれだけ辛いかわかって……」
「かなめ……」

 私は、二度とあの大好きな瞳に映ることはないのかな……?

「それでも……忘れるなんてできない……っ」

 今までつばちゃんが背負ってきたもの全部、これからは私が背負う。
 それが、私にできる償い。

「つばちゃん、黒い髪が生えてきただけじゃなくて、色も見えるようになったの……つばちゃん、過去から解放されてるの……」

 私がつばちゃんを解放することで、償えるはずだった。
 でも、つばちゃんは私を拒絶することで、解放された。

「私……おばさんが言うとおり、つばちゃんを解放してあげなきゃいけない……」

 それでも、頭ではわかっていても、私は諦められなかった。