狂奏曲~コンチェルト~




 酷い顔で大学に行った私は、授業の後、工学部の前に来ていた。
 思いつめた顔で立っていた私に気づいたほのかが、目を見張って近づいてきた。

「どうしたの?」
「……つばちゃんが、目を覚ましたよ」
「本当?」

 ほのかは顔を輝かせた。
 本当なら、喜んでいるはずの私。
 それなのに、こんな顔をしているのが気になるのか、ほのかは顔をしかめた。

「かなめ、どうしたの?」
「……ほのかの言うとおりだったみたい」
「え?」

 言葉にした途端、再び涙が溢れてきた。

「つ、つばちゃんには……私が見えてないの」
「え……?」
「話しかけても、聞こえてないみたいで……つばちゃんの中で、私との記憶は書き換えられてるみたいなの……」

 ほのかが、息を呑んだ。
 そして辺りを見回して、

「かなめ、話ができるところに移動しよう?」

 私は泣きながら頷いた。