狂奏曲~コンチェルト~


「つばちゃん! 私、つばちゃんのこと思い出したんだよ!」
「そうだ、母さん。着替え、取ってきてくれないか?」

 え……?

「え、ええ……」
「有紀、悪いけど、母さんを俺のアパートまで送ってくれよ。車で来てるんだろ?」

 お兄ちゃんも、おばさんも、信じられないものを見るように翼の様子を見ていた。
 一番信じられなかったのは、この私だ。

「お前……」
「ん? どうした?」

 不思議そうに首をかしげるつばちゃん。

 悪寒が走った。
 つばちゃんには、私が見えていない……?
 それとも、徹底的に無視してるの……?

「なんで、かなを無視してるんだ……?」
「かな?」

 そうやって当惑した顔をしたつばちゃんに、私は硬直した。

「ああ、お前の妹か。かなめちゃんがどうかしたのか?」
「「「…………」」」

 言葉が、出てこなかった。
 お兄ちゃんが蒼白な顔で、

「お前、何言ってる……?」
「俺、かなめちゃんとはあんまり仲良くなかっただろ? ほら、俺はいつもお前といたし」

 つばちゃん……?

 お兄ちゃんがつばちゃんに掴みかかった。