「ほのかっ」

 ほのかは私を振り返った。

「ほのかみたいな素敵な人に、良い人が現れないわけない!」

 私はそんなありきたりなことしか言えなかった。
 それでも、ほのかは私に笑いかけてくれた。

「しばらくは無理かもしれないけど、次はきっと良い恋する!」
「ほのかならすぐに良い人が見つかるよ!」

 そんなことを、人通りのある道端で叫んでいる私達は奇異に映るかもしれない。
 でも、他人の目なんかどうでもよかった。

 私は、同じ人を好きになってしまった好敵手に、エールを送りたかったのだから。



 次の日から、ほのかは病室には現れなかった。
 おばさんと私と、眠り続けるつばちゃんの気まずい病室。
 そんな日々がしばらく続いた後、待ちに待った日が訪れた。

 つばちゃんが、目を覚ました。