狂奏曲~コンチェルト~




 おばさんがつばちゃんの隣に座り、ずっと呼びかけている。
 私とほのかは、少し離れてその様子を眺めていた。

 さっきから、おばさんの言葉が頭から離れない。
 私は随分つばちゃんを傷つけた。

 浮かない顔の私を、ほのかが何か言いたげに見た。

「……おばさん、そろそろ帰ります」
「…………」

 私が声をかけても、おばさんは無視をした。
 唇を噛んで、病室を後にする。
 ほのかも私に続いた。

「かなめ、大丈夫?」
「……正直、心が痛い」

 胸が、痛かった。
 ずっと、私がつばちゃんを苦しめていたという事実。
 変えられない過去が、私を悩ませる。
 私がその過去を忘れている間、延々と悩み続けていたつばちゃん。
 どれだけ、苦しい思いをしたのだろう。

「色を失って、髪まで白くなって……つばちゃんは、それほどまで苦しんでいた」
「かなめ……」

 歩きながら話す私に、ほのかが眉をしかめる。