「お久しぶりです、おばさん」
「かな……めちゃん……?」
おばさんは、私がここにいたことでパニックに陥ったようだった。
「貴女、どうしてここにっ?翼のこと、忘れてしまったんじゃなかったの?」
「……思い出したんです」
「でも、どうしてここに……」
「おばさま」
そこで、ほのかが遠慮がちに声をかけた。おばさんははっとほのかを見て、
「ほのかちゃん、どういうこと?」
ほのかは困ったように私とおばさんを見比べて、
「かなめは、翼と同じ大学に通っていたんです」
「なんですって……?」
何を言って良いかわからず、私は俯いた。
「構内で、翼と再会したんですけど……翼はかなめに近づいて。でも、かなめは翼のことは覚えていなかったんです」
おばさんは、険しい顔でほのかの話を聞いている。
「それで、二人は付き合うようになって、かなめが昔のことを思い出して……」
「つばちゃんが事故に遭ったのは、私が過去を思い出しかけていたからなんです」
「かなめっ」
私の言葉に、ほのかが非難の声を上げた。
「あれはあたしが……」
「それじゃあ、また、貴女なの……」
怨嗟に満ちた低い声が、私に向けられたものだということは考えなくてもすぐにわかった。

