狂奏曲~コンチェルト~



「かな?」
「え」

 ずっとそうやって病室にいた私は、お兄ちゃんに呼びかけられて顔を上げた。

「かな、そろそろ帰ろう」

 ふと窓の外を見れば、すでに真っ暗だった。

「……うん、わかった」

 私はつばちゃんの耳元で、

「つばちゃん、また明日来るよ。おやすみ」

 そう挨拶してから立ち上がった。

「明日、おばさんが来るって、冴島さんが言ってた」
「……つばちゃんのお母さん?」
「ああ」

 お兄ちゃんの言葉に、いったいどんな顔をしておばさんに会えばいいか考えていた私は、やっぱり甘かったのかもしれない。