狂奏曲~コンチェルト~


「お父さんは何も知らない! 私はずっとずっとつばちゃんが好きだった! つばちゃんになら、私は壊されても構わない! 私はつばちゃんを責めてなんかいないっ」
「かなちゃん……」

 お母さんは、涙を流しながら私を抱きしめている。

「つばちゃんは、身体壊すまで私のこと想って……事故に遭ったんだよ! 私が、つばちゃんを責めてるって信じて……っ」

 泣き崩れる私を、お父さんが見つめている。

「かなめ……」
「……何」

 お父さんは、苦しそうな顔で、

「娘が、無理矢理純潔を奪われた親の気持ちがわかるか?」
「…………」
「お前が、あの時どんな姿だったのか、覚えている親の気持ちがわかるか?」

 お父さんの言葉が、私の胸に突き刺さった。

 お父さん達の気持ちは、わからないでもない。
 それでも……私はつばちゃんが好き。
 この気持ちは、何物にも代えられない。

 涙が、こぼれた。

 お父さんには、わからないかもしれない。
 それでも、私の気持ちをわかって欲しかった。

「私は……つばちゃんと一緒にいられるだけで幸せなの……お願いだから、一緒にいさせて……」
「かなちゃん……」
「つばちゃんを、救ってあげたいの……私のせいで苦しんでるつばちゃんを……」

 お母さんが私を抱く力に力をこめる。

「つばちゃんは、私を愛してるって……いつも言ってくれてたの……」

 つばちゃん、貴方は、どれだけの想いを一人で抱えていたの……?