狂奏曲~コンチェルト~


「……ほのか」
「えっ」
「ほのかって、呼んでも良い?」

 思えば、私達は中学から顔見知りだった。
 直接話したことはなかったけど、ずっと同じ人を好きだった。
 そしてお互いを羨ましがって、お互い相手になりたいと思っていた。

 でも、もしも少しだけ運命が違ったら、もっと違うふうに出会っていたら、仲の良い友達になれたんじゃないかって思った。

 冴島さんは、じっと私を見て――涙をこぼした。

「え、どうしたの?」
「……あ、あたしも……」

 冴島さんはぎゅっと私の手を握り返して、

「かなめって呼んでも良い?」

 そう言ってくれた。
 私は、冴島さんの、ほのかの涙をぬぐってあげて、

「もちろんだよ、ほのか」
「翼が、なんで貴女のことを……好きだったのが、よくわかった……」

 そう言って、ほのかは泣き続けた。
 私は泣きじゃくるほのかの背中を、なでてあげた。