狂奏曲~コンチェルト~


「君は……」
「お願いします」

 冴島さんが今度はお兄ちゃんに頭を下げた。

「あたしがこんなこと言える立場じゃないのはわかってる。でも、お願い、一緒に連れて行ってください」
「……わかったから、顔上げて」

 お兄ちゃんが冴島さんを宥めるように、肩を叩いた。
 顔を上げた冴島さんの顔を見たお兄ちゃんが、赤くなった左頬に気づいた。
 そこに触れて、眉をしかめた。

「……これ」
「お兄ちゃん、それは私が……」
「かな?」
「違うんです。これは……これでおあいこなので」

 お兄ちゃんは肩をすくめて、

「とにかく、帰ろう」

 私達は、帰路についた。



「あった、これじゃないか」

 お兄ちゃんの部屋で、三人してパソコンに向かう私達。
インターネットで検索すると、事故のことはすぐにわかった。
 その見出しは、こうだった。

『男子大学生、自殺か?』

 なんとも言えない沈黙が訪れる。