狂奏曲~コンチェルト~




 しばらくすると、お兄ちゃんが血相を変えて走ってきた。

「お兄ちゃん!」
「かなっ、翼が事故って……」

 私の隣には蒼白な顔で震えている冴島さん。

「詳しいことはわからないの。でも、さっき通りかかった人達が、つばちゃんが車に撥ね飛ばされたのを見たって……」
「っ……」

 お兄ちゃんが息を呑んだ。

「……どこで……?」
「隣町だって……」

 つばちゃん、でもなんで隣町なんかに……

 そのとき、ふと冴島さんと目が合った。

「あたしのせいだ! あたしがっ……翼にあんなこと言ったから……っ!」

 冴島さんが叫ぶ。だけど私は、彼女を落ち着かせて、

「違う……全部、私のせいだから」
「本郷さん……」

 冴島さんは驚いたように私を見た。

「私が、忘れちゃってたから……つばちゃんを余計に傷つけた。悩ませた。私は、つばちゃんと話しなくちゃ……」

 私の言葉を聞いた冴島さんは、くしゃっと顔を歪めた。

「……ごめんなさい……」
「え?」

 いきなり頭を下げられて、私は戸惑う。

「ごめんなさい、本郷さん……」
「頭上げて」

 すると、しばらく何かを考えていたお兄ちゃんが、

「とりあえずうちへ帰ろう」
「でも……」
「とにかく昨日あった事故について調べて、運ばれた病院がわからないことには何もできない」

 お兄ちゃんは冴島さんに視線を移した。